昨今不動産市況が活況を呈しているのはご存知の通りだと思いますが、キャップレートの低下、地価の高騰等を背景に都心の収益物件は価格の上昇傾向が鮮明です。そのような中で、投資対象として「ホテル」が注目されてきておりましたが、昨今は、ホテルへの投資プレーヤーが大幅に増加傾向にあり、今までオフィスビル等にしか投資していなかった投資家もホテル投資のフィールドに上っています。
そのような背景に加え、ホテル特化型REITが組成されたこともあり、2006年頃からホテル取引が非常に活発化しています。2006年後半からはホテル投資マーケットにおいても過熱感を帯びており、希少性の高い取引では非常に高値がつく傾向にあります。
下記は、2006年後半から2007年9月までに、売買金額が判明したホテル取引事例を一覧とした表です。再開発含みの物件も有りますが、一昔前では考えられなかったような大型取引が相次いで成立しています。

中でも、不動産取引で考えても国内最大級の取引であった、全日本空輸グループの保有13ホテルの売却では、2800億円超という大型取引となりました。主な資産の簿価(06年3月時)は東京(451億円)、石垣(134億円)、広島(143億円)、博多(76億円)、沖縄ハーバービュー(73億円)、13ホテル合計で約1,100億円とのことで、売却益1,700億円程度とのことでした。
当該売却においては国内外の投資家を相当数募っての入札手続きが行われた模様ですが、時期的に景気回復局面にあったこと、ANA東京を始め改装を行ったホテルの業績が上昇傾向にあったこと、等が背景にあるものと考えられます。
また、昨今では2007年9月28日に発表された帝国ホテルの株式33%をサーベラス傘下の国際興業が三井不動産に売却した案件が記憶に新しいところです。1株あたりの売却価格は8,750円で、9月20日時点の市場株価5,590円を参考にすると、約49%のプレミアムが加算されていることになります。単純に売却金額を株式割合で割り戻すと、三井不動産が提示した帝国ホテルの事業価値は2,600億円の評価にも上ることになります。
更に虎ノ門パストラルの2,300億円も衝撃的でした。2年間継続保有後、再開発を予定しているとのことであり、ホテルとしての価値ではありませんが、取り壊す前提で2,000億円を超える規模の取引が行われたことも驚きです。土地価格で割り戻した坪単価は4,754万円/坪で、六本木プリンスの3,300万円/坪を大きく上回ります。
当該一覧表はあくまで金額が判明した取引であり、金額の判明しなかった高額と予想されるホテル取引は数多くありました。例えば2007年2月に浦安市にあるシェラトン・グランデ・トーキョーベイをスターウッドホテル&リゾートとモルガンスタンレーグループが共同出資で信託受益権を取得しました(売却金額不明)。
当該ホテルの信託受益権は2000年3月に480億円で売却されており、当時が景気低迷時であったことを加味すると、今回は当該額を相当程度上回る高額で取引されたのではないかと推測されます。
水面下では現在も多くのホテル取引が動いている模様ですが、一部ではサブプライムローン問題以降、ファンド系投資家を中心に慎重姿勢を見せはじめているという話も聞かれ、今後の動向にも注目が集まるところです。
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